私の価値はどこに? フランケンシュタインに投げかけられた問いかけ
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
フランケンシュタインのお気に入り
4月から始まったドラマ「フランケンシュタインの恋」を時々チェックしています。一度亡くなりながらも、ある研究者の手によってフランケンシュタインとしてよみがえった青年が、
ある時1人の女子大学生と出会うことからストーリーが始まります。
よみがえってからというもの、フランケンシュタインの青年は何年も森の中で暮らしていたのですが、
その間研究者の遺したラジオを聴いて、人間の生活を学んでいました。
青年のお気に入りは、あるラジオ番組の中で放送されているコーナー。
「天草に訊け」というタイトルのついた、インタビュー形式のそのコーナーを毎回欠かさず聴いているのです。
「あなたは誰ですか?」
青年がラジオに耳を傾けていると、いつものように「天草に訊け」が始まりました。コーナーの担当者である天草は、その日も街頭に出てインタビューをしていました。
通りがかりの男性に投げかけたのはこんな質問です。
「あなたは誰ですか?名前以外で答えてください」
それに対して男性はどのように答えたのか、以下のようなやり取りがありました。
「えっと、サラリーマンです」
「サラリーマンなんて人間はいるんでしょうか?
会社を辞めたり、会社が消えたりしたら、あなたもこの世から消えるんですか?」
「じゃあ、父親、いい夫です」
「でも、父親、いい夫って、それを聞いて思い浮かべるのはあなたの家族しかいませんよね?」
「それで十分なんじゃないですか」
「なるほど、それも一つの答えですね」
フランケンシュタインの青年は、この放送を聴いて、自分は誰だろうと考えました。
名前もない、自分が何者であるかも分からない。
でも、自分は確かに存在しているのです。
私は何を持っているのか
皆さんは「あなたは誰ですか?」と聞かれたら何と答えるでしょうか。「自己紹介をしてください」と言われた時、自分を表す言葉はいろいろあります。
名前はもちろんのこと、どんな仕事をしているかとか、年齢、性別、趣味、嗜好、どこで生まれたかなど、考えればいろいろ出てきます。
このサラリーマンの男性のように、職業とか、役割などで自分をとらえている人は多いでしょう。
また、他人の、年齢はどれくらいか、どんな仕事についているか、年収はどれくらいか、いかに有益な趣味を持っているか、などを気にしていたりします。
より多くのもの、質の高いものを持っている人が評価されるのが世の中だからです。
私の価値はどこにあるのか?
「スクールカースト」という言葉がありますが、これは現代の学校のクラス内での人間関係を表現した造語です。かつてインドに「カースト制度」という階級制度があったように、現代にも階級のピラミッドがあるというのです。
秀才で、運動神経抜群、コミュニケーション能力が高く、家柄もいいし、容姿端麗。
あらゆるものを持っている、力のある人はピラミッドの頂上に君臨します。
そんな人は発言権もあり、自分のしたいようにふるまうことができるのです。
もちろん、そんな人は少数派ですから、羨まれるものが少ない人は、階級の下の方に追いやられ、
クラス内では上の人の顔色をうかがって生きていかなければなりません。
こういうことは学生だけではなく、一般社会の様々なところに見られることです。
どれだけのステータスがあるかで、その人の価値を判断しているのですね。
装飾品がなくても確かに存在する「私」
もし、ステータスに価値があるのなら、それは人それぞれですから、価値も人それぞれということになります。ステータスというのは、言ってみれば「私」にくっついている「装飾品」です。
「装飾品」ですから、当然変わることもあれば失うこともありますが、
どれだけ変わっても、失ったとしても、持ち主たる「私」という存在は変わらないですよね。
名前がなくても、何も持っていなくても、平凡でも、存在している「私」。
ステータスという「装飾品」ではなく、それらがくっついている「私」そのものの価値とは何か。
誰もが悩むところだからこそ、「自分とは何か」というテーマは、何千年も昔から問われ続けてきたのです。
人間の価値とは何か お釈迦さまの答え
「自分を知ること」は、すなわち「自分の価値を知ること」。仏教を説かれたお釈迦さまは「天上天下 唯我独尊」と、人の価値を説かれました。
「唯我独尊」は「自分だけが偉いんだ」という意味だと思われていますが、実は違います。
「ただ我々人間だけになしうる、たった1つの尊い目的がある」と言われた言葉です。
たった1つの尊い目的を知り、果たす為に生まれてきたのだから、すべての人の命は、限りなく尊いのだ、と言われているのです。
自分のことが分からないのはフランケンシュタインだけではありません。
私達もまた、自分の価値にはっきりと答えられないでいるのではないでしょうか。
自分とは何か、自分の価値とは何か。
人間に生まれてきた目的とは何か。
それを教えられたのが仏教ですから、ぜひ仏教を学んで、「私そのもの」の価値を知っていただきたく思います。
それでは、また(^^)/ -メディア
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!