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額面通りにはいかない人間関係 忖度から考える人の心

 

2020/01/16

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。

今年の新語・流行語大賞が発表されましたね。
今年の大賞は「インスタ映え」「忖度(そんたく)」の2つだそうです。
「忖度」という言葉、私はそれまで聞いたことがなかったのですが、森友学園問題や加計学園問題などの報道を通じてよく耳にするようになりました。

「忖度」とは、「他人の気持ちを推し量ること」。
今回のことでは、なんとなく思惑の絡み合うイメージのついた言葉になってしまいましたが、本来の意味からはそんなイメージは出てきません。
むしろ、私たちは皆、常に忖度しながら生きているのではないでしょうか

人を自分の都合で評価する

私たちの周りには様々な「他人」がいます。
親子、兄弟、夫婦、友達、職場の上司・部下、同僚、取引先との関係…。
上手く接するためにお互いに気を遣いながら人間関係を築いています。
その時に大切なのは、相手がどのようなことを望んでいるのかを知ることではないでしょうか

私たちは、他人のことを自分の都合で評価しているところがあります。
自分に都合がよければ好きな人だし、都合が悪ければ嫌いな人になるのです。
とんちで有名な一休さんが「今日褒めて明日悪く言う人の口 泣くも笑うもウソの世の中」と歌っていますが、本当にその通りだなあと思います。
評価される側としてはひどいものだなあと思っても、自分自身、評価する側に回ったら同じようにしているんですよね。

そういう私たちなので、「相手の都合のいい人間になる」というのは、人間関係を築く時に一つの大きなポイントと言えるかもしれません
都合のいい人間になるためには、まず相手のことをよく知ることが大事です。
望んでいることは人それぞれ違いますから、「この人は何を望んでいるのだろう」と考えて初めて、相手との潤滑な人間関係が築かれていくのですね。

額面通りにいかない言葉

しかし、相手の望みを知ることは簡単ではありません。
以前、県民性を紹介する本で、京言葉は逆説的だという話を読んだことがあります。
たとえば、相手の家にお邪魔した時。
一通り話も済み、あまり長居してもご迷惑かなと腰を上げると、「もう少しゆっくりしていったらどうですか」と家主から言葉をかけられたとします。
言葉通りに受け取れば、そのまま居座ってもいいのかなということになりますが、そこで居座ると家主からの印象は悪くなるといいます。
言葉では「ゆっくりしていきなさい」と言っていても、心ではそう思っていないからです

これは、京都の人に限ったことではないでしょう。
私たちの間では、額面通りに受け取れないやり取りが意外と多いのではないでしょうか。
早く帰ってほしいなあと思っていても、はっきりと口に出すことはしませんし、似合っていないなあと思っていても、似合っていますよとお世辞を言うこともあります。
私たちは心でどんなことを思っていても、相手との関係を崩さないために、言葉を飾って伝えています

仏教で教えられる心の姿

お釈迦さまは、私たちが心で思っていることと口で話していることは異なると、次のように言われています。

「心口各異 言念無実(しんくかくい ごんねんむじつ)」

また、お世辞を言うことを「綺語(きご)」といい、十悪の1つとして挙げられています。
お世辞は人間関係を崩さないために大事なことじゃないか、と思われるかもしれません。
しかし、仏教はあくまでも心を最も重視している教えです。
このことを通して、そのまま口に出せないようなことを思ってはいませんか、ということを問いかけておられるのではないでしょうか

額面通りにはいかないのが人間だからこそ、相手の言葉や表情、性格、その時の状況などを総合的に見て、気持ちを推し量っていかなければならないのですね。
人間関係は難しいものだなあと思いますが、潤滑にいくよう努力することがそのまま、自分自身の姿を見つめるご縁になるかもしれません

人間の姿をよく知って、よりよい人間関係を築いていきたいと思います。
それでは、また(^^)/

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