親切には下心より裏表のない真心を 「接待」から知るおもてなしの極意
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
丁寧な応対に欠かせないこと
先日、電話応対に関係するビジネスマナーセミナーに参加してきました。その時講師をされていた方は、マナーを「相手に対する思いやりの心を相手に見えるように表現すること」だと定義されていました。
心は目に見えなくても、表情や態度、言い方から伝わるものです。
姿勢一つに考え方が出るので、言葉と態度を一致させることがまず大切なのですね。
丁寧な言葉や応対は、相手のことを大切に思い、歓迎する心、すなわち、おもてなしの心から出てくるのだという話に深く納得しました。
「おもてなし」とは?
「おもてなし」という言葉は、以前東京オリンピックの招致の際に滝川クリステルさんが使ったことで世界的に有名になりました。その年の流行語大賞にも選ばれていましたよね。
日本ならではの最上級の心遣いを表す言葉として、特にサービス業の世界ではとても大切にされている考え方です。
「おもてなし」の語源には2つあって、1つは「モノを持って成し遂げる」という意味。
そしてもう1つは、「表裏なし」、つまり、表裏のない「心」で客人に接するということです。
真心を持って人に喜んでもらいたいと考えたら、それがそのまま客人をもてなすということに繋がっていくのでしょう。
接待には裏がある?
おもてなしの類義語に「接待」という言葉があります。しかし、接待と聞くと、なんとなく胡散臭いというか、何か裏があるように感じてしまいますよね。
ビジネスの世界でよく聞かれる単語だからでしょうか。
取引先をもてなすという行為の裏には、経営や業務の遂行に協力してもらおうという思惑が見え隠れしています。
そういったことから、接待には取引先に対する賄賂の側面もあるということで、政府関係者や公務員などは接待を受けることを禁止、もしくは制限されているんですね。
そう考えると、類義語とは言っても「おもてなし」と「接待」は、行動は似ていても、心がけが異なるように思います。
「接待」で心がけるべきは…
ところが、「接待」の本来の意味を知って、類義語であることに納得しました。「接待」は、元々は仏教から来た言葉で、修行僧に門前で湯茶を提供することを言われていたそうです。
これは布施の一種で、無償の行為として行われていたものです。
「布施」とは、人にものやお金を施す行為のことで、親切ということです。
仏教では、人に親切をした時の心がけを「三輪空(さんりんくう)」と教えられています。
「三輪空」とは、「施者(私が)」「受者(誰に)」「施物(何を)」という3つのことを忘れなさい、ということです。
私たちは人に何か親切にした時、ついつい見返りを求める心が起きてきます。
だから、お礼の言葉さえないと腹が立ってきて、「もう二度と親切なんかするもんか」と思ってしまうのです。
せっかくいいことをしたのに、腹を立ててしまったら後味が悪く、なんだかとても残念ですよね。
腹が立つのは施しをしたことをずっと覚えているから。
施しをしたこと自体を忘れてしまえば、相手からお礼がなくたって腹が立つこともありません。
たとえその時は相手からお礼をもらえなかったとしても、いいことをしたという事実は消えませんから、必ず何らかの形でよい結果が現れます。
だから、見返りを求めず、相手に親切にすることを勧められているのですね。
お互いが清々しくなるおもてなしの極意
日常生活でいろいろな店を利用する際、店員さんの接客の仕方から、その人の「心」を感じることができます。「仕事だから」とその場しのぎでやっている人もいれば、「お客さんに喜んでもらいたい」と一生懸命やっている人もいる。
コンビニにしても、美容院にしても、飲食店にしても、「また行こうかな」という気になるのは、後者のような店員さんのいる店ではないでしょうか。
これだけのことをしてあげたんだから、当然お返しはしてくれるだろうと利害打算の電卓をたたいても、思うような結果が返ってこないことの方が多いかもしれません。
そうすると、なんだかおもしろくないものです。
むしろ、「喜んでもらいたい」の一心で人に親切した時の方が、なんだか清々しく、気持ちよく過ごせるような気がします。
お礼を期待する心をなくして、本当の意味での接待をすると、受ける側も喜ぶし、もてなす側も楽しい。
お互いに晴れやかな心で、気持ちよく過ごすことができるでしょう。
お客さんを迎える時には、裏表のないまっすぐな「真心」を持って、おもてなししていきたいものですね。
それでは、また(^^)/
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この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!