どこまでいっても隣の芝生は青い 悩みが尽きない本当の原因とは?
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
持っていない人と持っている人
今期放映している「獣になれない私たち」というドラマがあります。簡単には本音が言えず感情におぼれることもできない、そんな人たちを描いた作品です。
主人公は、常に笑顔で仕事は完璧な「誰からも好かれ愛されている」女性、晶(あきら)。
羨まれるような生活を送っていながらも、その裏では、全方位に気を遣うばかりに神経をすり減らしストレスを溜めています。
晶には4年付き合っている恋人がいますが、その人が元々付き合っていた女性が、別れた今も家に居座り続けている状況。
晶は意を決してその元彼女である朱里(あかり)と話をしに行き、出ていくつもりがあるのか尋ねます。
その時に相手から出てきたのが次のセリフでした。
「あなたが持ってるいろんなもの、私何にも持ってない。あんたみたいな人、大っ嫌い」
そうして涙を流す朱里に対し、晶はぽつりと呟きます。
「私は、あなたが羨ましい。そんな風に泣けて」
恵まれていても幸せにはなれない?
朱里は、元々働いていた職場では人間関係がうまくいかずに退職。派遣社員として働くあてを探すも、仕事がもらえず自分では家を借りることもできない。
彼氏にはフラれ、引きこもりとして生活する毎日を送っています。
だからこそ、自分にないものを全部持っている晶が羨ましくて仕方ないのでしょう。
一方、ちゃんと自立していて、仕事もできて、彼氏もいて、人間関係も順調で、傍から見れば順風満帆な生活をしている晶。
しかしその裏では、次々と押し付けられる仕事に疲弊しながらも、感情を押し殺し、誰にも弱音を吐けないままストレスをためているのです。
晶からすれば、働かずに毎日自由に暮らし、感情のままに振る舞える朱里が羨ましく思えるのではないでしょうか。
持っていないのは苦しいけれど、持っていても悩みは尽きない。
晶も朱里も、お互いを羨ましく思っていますが、どちらも幸せとは言えないようです。
私たちはみんな「有無同然」
「隣の芝生は青い」とよく言われます。相手と自分を見比べると、どう考えても相手の生活の方が幸せそうに見える。
私たちは、いつも他の誰かを羨んでは、その人の人生にあこがれています。
しかし、羨まれているその人はその人で、自分と同じように人知れず悩みを抱えているものかもしれません。
お釈迦さまは、いろんなものを持っている人も、持っていない人も、幸せになれていないことを「有無同然(うむどうぜん)」と言われています。
私たちは、無い状態よりも、1つでも多くのものに恵まれていた方が幸せになれるだろうと思っています。
しかし一方で、容姿や才能、お金、人間関係、あらゆるものに恵まれても、それらを維持するには様々な苦労を伴うのです。
無い人は鉄の鎖で、有る人は金の鎖で縛られているようなもの、と言われます。
金の鎖だから鉄の鎖よりいいじゃないか、とは誰も言わないでしょう。
金だろうと鉄だろうと、縛られている苦しみは同じだからです。
物が有ろうと無かろうと、私たちが苦しみ悩む実態は変わらないのです。
苦しみ悩みの根本原因
仏教では、私たちが幸せになれない原因は、物の有無にあるのではないと説かれます。私たちの苦しみ悩みの根本原因は別にあるのです。
その根本原因は「無明の闇(むみょうのやみ)」と言われ、すべての人には、心の底に横たわっている暗い心があると教えられています。
病気にかかった時は、目の前にどんなごちそうを並べられても、美味しく食べることができず、喜べません。
ちょうどそのように、無明の闇がある間は心が病気にかかっているような状態で、どんな幸せに恵まれても、心からの安心や満足を味わうことができないのです。
無明の闇が破れたら
では、その無明の闇はどうしたらなくすことができるのでしょうか。浄土真宗の親鸞聖人は、次のように言われています。
「無碍の光明(むげのこうみょう)は、無明の闇を破する慧日(えにち)なり」
(教行信証)
「無碍の光明」とは、阿弥陀仏のお力のこと、「慧日」とは、智慧の太陽ということです。
阿弥陀仏のお力で私たちの暗い心が破られ、明るい心に転じ変わることが教えられています。
(阿弥陀仏については、「阿弥陀仏とお釈迦さまの関係をご存知ですか? 仏教を学ぶときに大切なこと」の記事をご覧ください)
そして、それは生きている今、一念の瞬間に破っていただけるのです。
(一念については、「一念発起するとどう変わる? 幸せな人生に変わる一念の瞬間とは」の記事で解説しています)
無明の闇が破られたなら、たとえ物に恵まれていなくても幸せ、物に恵まれていればもっと幸せな身になることができます。
苦しみ悩みの原因を正しく知って、幸せな人生を歩みたいですね。
それでは、また(^^)
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!