堪忍しているのは自分ばっかり? 怒りを感謝に転換する視点
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
昨年、日本海側の地域では雪が多く、毎朝起きるたびに外の様子を確認していました。
富山では、一転して今年は雪がまったく積もらず、雪かきの必要がない日が続いています。
全国的に例年よりも2週間ほど早く梅が開花しているのだとか。
「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言いますが、今年は彼岸前には寒さが和らぎそうですね。
彼岸の由来とは?
ところで、彼岸というと、春と秋に行われる年中行事の1つとしてよく知られています。この彼岸は、もともと仏教の言葉なのですが、どのような意味があるのでしょうか?
彼岸は、阿弥陀仏の極楽浄土のことを言われています。
阿弥陀仏とは、仏教を説かれたお釈迦さまの先生の仏さまです。
お釈迦さまだけではなく、大宇宙にたくさんおられる仏さま方の師匠・先生なのです。
こちらの記事でも解説しています。
阿弥陀仏とお釈迦さまの関係をご存知ですか? 仏教を学ぶときに大切なこと
お釈迦さまは『阿弥陀経』に、阿弥陀仏の極楽浄土は西にあると説かれています。
「これより西方、十万億の仏土を過ぎて世界有り、名けて極楽と曰う」
(阿弥陀経)
太陽も月も西に沈んでいくように、すべての人が最後、そこにたどり着かねば落ち着かない、本当の幸せの世界が「極楽浄土」であると教えられます。
だからこそ、極楽浄土は西にあると説かれているのです。
ですから、年に2回太陽が真西に沈む日を彼岸と言われるようになったそうです。
お釈迦さまは極楽浄土を彼の岸と言われていますが、彼の岸とは向こう岸のこと。
では、こちら側の岸とはどんな世界なのでしょうか。
娑婆に生きる私たち
彼岸に対して、こちらの岸は此岸(しがん)です。此岸は、私たちの生きている世界のことで、「娑婆世界(しゃばせかい)」とも言われます。
娑婆といえば、ドラマなどで刑務所から出てきた人が「娑婆の空気はうまい」と言っている場面を目にすることがありますね。
もともと、娑婆はサンスクリット語に漢字をあてたもので、「堪忍土(かんにんど)」という意味があります。
「堪忍しながら生きている世界」ということで、私たちの住んでいるこの世界を指した言葉です。
堪え忍んでいる日常
堪忍は「こらえしのぶ」と書きますね。思えば、私たちの日常はこらえしのぶことばかりです。
上司や取引先から理不尽なことを言われても、怒りをぐっとこらえて仕事に取り組みます。夫は、仕事から帰ってきて早く休みたいところ、妻の愚痴を忍耐しながら聞いています。
妻は、家事や育児に無関心な夫に堪え忍んでいるのではないでしょうか。
世の中は思うままにならないことばかりです。
だからといって、すべてのことにかんしゃくを起こしていたら、周りの人から敬遠されてますますうまくいかなくなってしまうでしょう。
堪え忍ぶことは私たちが生きていく上で大切なことなのですが、そんな簡単なことではありません。
大変な思いをして堪え忍んでも、なんとなく釈然とせず、モヤモヤとしたものが積み重なっていくばかり。
忍耐することはよいことのはずなのに、モヤモヤしてしまうのはなぜなのでしょうか。
それぞれの立場で
私自身もそうですが、兄弟がいる人の話を聞くと、みんな同じような不満を持っていることに気づきます。兄や姉の立場からすると、ケンカをしていつも叱られるのは自分ばかり。
いつも親から「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい」と言われる。
そうすると、「なんで自分ばっかり」という不満が出てきます。
逆に、弟や妹の立場からすると、与えられるものはいつも上の兄弟のおさがりばかり。
自分だって新しいものがほしいのに、我慢しなさいと叱られる。
そうすれば、「自分ばかりが我慢して、お兄ちゃん(お姉ちゃん)はずるい」という気持ちにもなるでしょう。
これは兄弟の間のことだけではありません。
私たちは堪え忍んでいる時、「なんで自分ばっかり」という気持ちが出てきます。
なぜ自分が折れなければいけないんだろうと、釈然としない思いになるのです。
怒りを感謝に転換する視点
では、忍耐しているのは本当に自分だけなのでしょうか?兄弟の例で見ると、兄(姉)の立場の人も、弟(妹)の立場の人も、お互いにどこかで忍耐している部分があることに気づきます。
上司・部下、夫・妻、親・子、友達同士。
私たちの周りには様々な関係の人がいますが、お互いに相手のことを堪忍しているのではないでしょうか。
多くの場合、自分が堪えていることしか見えないので、「してやっているんだ」という思いになり、怒りの心が出てきます。
しかし、「堪忍土」にいる私たちは、皆お互いにお互いを堪忍し合いながら生きていると考えてみたら、「自分ばっかり」という気持ちも小さくなっていくかもしれません。
「かんしゃくの くの字を捨てて ただ感謝」
いつも堪忍してくれてありがとう。
そういう気持ちでお互いに接することができたら、もっと生きやすい毎日に変わっていくのではないでしょうか。
それでは、また(^^)
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!