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聖徳太子が「世間虚仮」と言われた心 私たちが頼りにするべきものとは

 

2020/01/16

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。

この週末も台風が来て大変でしたね。
毎週のように大型台風がやってきて、気の休まる時がありません。
いつも台風が去った後は台風一過で晴れるものですが、最近は立て続けに台風が来るからか、スッキリしない天気が続いていました。
早く秋晴れの青空が見たいものです。

そういえば、子供の頃に「台風イッカ」というのを聞いて「台風一家」と変換していたことを思い出します。
このような勘違いをしていた人は結構多いようですね。
汚職事件」を「お食事券」だと思っていた。
肩甲骨」を「健康骨」、「東名高速」を「透明高速」など、挙げればいろいろ出てきます。
よく考えると変なことに気づくのですが、子どもの頃はそこまで深く考えないものですよね。

「コケ」は漢字でどう書く?

では、よく「コケにした」「コケにされた」と言っている「コケ」とは、どのような漢字を書くのでしょうか?
これは大人でも知らない人が多いかもしれません。
湿った場所に生えている緑の「苔」だと思っている人もありますが、実は「虚仮」と書くのです。

「虚仮」というのは仏教の言葉。
「虚」は偽り、「仮」は実体の伴わないことを言いますから、「虚仮」とは真実でないことを意味します。

「虚仮」といえば、日本の歴史上でも有名な聖徳太子のお言葉に、次のようなものがあります。

世間虚仮 唯仏是真(せけんこけ ゆいぶつぜしん)

この内容をひらがな交じりで書かれているのが、『歎異抄(たんにしょう)』にある次のお言葉です。

煩悩具足の凡夫・火宅無常の世界は、万のこと皆もってそらごと・たわごと・真実あることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします

「世間虚仮」と言われた心

「煩悩具足の凡夫」とは、煩悩でできている人間、ということ。
「火宅無常の世界」とは、「火宅」は火のついた家のこと、「無常」とは、常が無く続かないことを言われます。
もし、自分の家のひさしに火がついていたとしたら、のんきにご飯を食べてなどいられません。すぐに避難するでしょう。
ですから、火宅とは、火がついた家の中にいるような、不安な状態のことを言われます。

私たち煩悩でできている人間が、いつ何が起きるか分からない大変不安な世の中に生きている、ということを言われたのが「煩悩具足の凡夫・火宅無常の世界」です。

自分の欲によってコロコロと意見を変えてしまうのが人間ですから、昨日は褒めてくれていた人も、今日になったら急に態度を変えて厳しくなっていたりすることもしばしば。
「この人は私の味方だ」と頼りにしていても、裏切られてしまうこともあります。

だから人間は信じられないと、お金や財産、家や車を頼りにしていても、地震や台風などの災害で失ってしまうこともあります。
いつ何が起きるか分からない、無常の世の中だからです。
そんな世間だから、すべてのことはあてにならず、これだけは頼りになるという真実のないもの、「虚仮」のものなのだ、と教えられているのです。

私たちが頼りにするべきものとは

では、そんな真実のない世の中で、私たちが本当に頼りにするべきものとは一体何でしょうか?

それを表されたお言葉が「唯仏是真」であり、「ただ念仏のみぞまこと」です。
「念仏」とここで言われているのは、「阿弥陀仏の本願」のこと。
阿弥陀仏とは、大宇宙にガンジス川の砂の数ほどおられるという諸仏の、先生の仏さまです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
阿弥陀仏とお釈迦さまの関係をご存知ですか? 仏教を学ぶときに大切なこと

その阿弥陀仏が、火宅無常の世界に住む煩悩具足の凡夫である私たちを憐れんで、「必ず裏切らない幸せの身にしてみせる」とお約束されたのが「阿弥陀仏の本願」なのです。
仏さまは決して嘘をつかれない方です。
ですから、お約束されたということは、必ずその誓いは果たされるということです。
実際にそのお約束通り裏切られない幸せの身になった、と喜ばれている親鸞聖人のお言葉があります。

「誠なるかなや、摂取不捨の真言、超世稀有の正法」
(まことだった、本当だった、弥陀の本願、嘘ではなかった!)

「コケにした」「コケにされた」と一喜一憂しているまことのない世の中で、唯一阿弥陀仏の本願だけが私たちを本当の幸せにしてくださるのだよ、と仏教には教えられています。
だからこそ、聖徳太子も仏教を大切にされたのですね。

今回は、「虚仮」という言葉を通して、聖徳太子、親鸞聖人のお言葉をご紹介しました。

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