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「無常の風」が吹くのはいつ? 今こそ仏教を聞くべき理由

 

2020/01/16

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。

今期始まったドラマの中に小児科医の活躍を描いた「グッド・ドクター」という作品があります。
主人公はサヴァン症候群という自閉症でありながら、そのたぐいまれな能力を見込まれ、小児科病棟に勤務することとなった青年です。

主人公の願いは「大人になれない子どもをなくすこと」。
当たり前のように毎日を過ごす中で、この言葉にハッとさせられました。

約束されているわけではない未来

この世には、大人になれずに生涯を終えてしまう子どもがどれほどいるのでしょうか。
幼いながらに重い病と闘った子。事故や災害に巻き込まれてしまった子。
親から虐待を受けた末に亡くなってしまう子もたくさんいます。
彼らには、誰もが当たり前だと思っている「年を重ねて大人になる」という未来がなかったのだと知らされます。

物心ついた時、自分はこのまま小中高大と進学して、就職して、結婚して、子どもができて…と、漠然とした未来を描いていました。
そして、だいたい80歳くらいで生涯を終えるのかな、と思っていたのです。
それが途中で終わってしまうことなど、考えもしていませんでした。

日本人の平均寿命は年々延びているようで、女性は87歳、男性は80歳だそうです。
不思議なもので、このように聞くと、自分もそのくらいまで生きられるように思います。
ところが、それはあくまでも平均であって、その中には平均寿命まで届かずに亡くなってしまう人もたくさんあるでしょう。
80歳、90歳まで生きられる保証は、どこにもないのです。

無常の風はいつ吹くか

「無常の風は時を選ばず」と言われます。
仏教では、「すべてのものは常が無く続かないもの」であると、諸行無常(しょぎょうむじょう)を説かれています。
私たちにとって、最大の無常は自らの命。
ですから、死のことを「無常」と表されます。

そして、死というのは目には見えないものです。
それはちょうど風のようなもので、気づかぬうちに近くに来て、気づいた時にはあっという間に命を奪っていきます。
それで、死のことを「無常の風」とも言われるのです。

無常の風はいつでもどこでもやってきます。
まだ若いから、昇進したばかりだから、これから娘が結婚するから、まだ待ってほしい。
そういう都合はおかまいなしに、命を奪っていきます。

人生を長く生きた人にだけ無常の風が吹くのでもない。
病気で苦しんでいる人だけに無常の風が吹くのでもない。
無常の風は幼い子にも、若い人にも、健康な人にも例外なく吹いています。

しかし、私たちはその事実を忘れてしまっています。
毎日のニュースでは、殺人事件や事故などで亡くなった方の報道を聞かない日はありません。
今回の地震や大雨でもたくさんの方が亡くなっています。
そうして見聞きしていても、自分の上にはやってこないと最初から信じ込んでいるからではないでしょうか。

親鸞聖人が9歳で感じられた無常

特に若いうちは、自分が亡くなる日がくることなど思いもしないかもしれません。
そんな中、幼い時から自らの無常を感じておられたのが浄土真宗親鸞聖人です。

親鸞聖人は、4歳の時にお父さんを、8歳の時にお母さんを亡くされています。
ご両親の無常を目の当たりにされた聖人は、次に無常の風が吹くのは自分だと思われ、仏門に入ることを決意されます。それが9歳の時分のことでした。
そして、出家を願い出られたときに詠まれたのが次の歌です。

明日ありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

明日もきっと見られるだろうと思っていた桜は、嵐によって夜のうちにすべて散ってしまっていた。
明日も生きていられるという保証が一体どこにあるというのだろう。

桜の花は儚いものの代表として様々な作品に登場しますが、それよりも儚いものと言われるのが人の命です。
私たちは明日どころか、来週も、来月も、来年も、そのずっと先もあると思って生きています。
しかし、自分が思っているより、人生はずっと短いものなのかもしれません。

仏教を聞けるチャンスは今

そんな人生において、死を前にしても崩れない幸せになれる道を教えられたのが仏教です。
仏教といえばある程度年を重ねてから聞くものだ、と思っている方は少なくありませんが、「無常の前では皆同い年」とも言われます。
いつ無常の風が吹くともわからないのだから、年齢に関係なくすべての人に関係ある教えが仏教なのです。

親鸞聖人の教えをそのまま伝えられた本願寺8代目の蓮如上人は、「仏法は若きとき嗜め」と説かれています。
誰しも、今この瞬間が一番若い時です。
この先、今よりも若い時はありません。
ですから、仏教を聞けるチャンスのある時を逃してはいけませんよ、と教えられているのですね。

長く生きられるのならそれに越したことはありませんが、いつ無常の風が吹いてもいいように、今こそ準備を整えておくときなのかもしれません。

それでは、また(^^)

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