若者への思いと仏教は時代を越える? 変わらない教えと変えなければいけない伝え方とは
2020/01/16
こんにちは!
チューリップ企画スタッフのわかです。
時代とともに変わる言葉
国語に関する世論調査の結果が今年も発表になっていました。「目が点になる」「心が折れる」「あさっての方向を向く」など、新しい表現の慣用句として紹介されていましたが、私はてっきり昔から使われているものだと思っていました。
当然のように使っていても、意味が通じない人もいるのですね。
他にも、本来「存亡の機」が正しいところ、8割の人が「存亡の危機」と使っているという結果もありました。私自身もその1人です。
8割が使っているとなると、もはやそちらの方が正しい言葉と認識されてしまうでしょう。
こういう話題を見るたび、言葉は時代と共に変化しているのだなあと感じます。
言葉の変化により新しい風が吹くのはいいかもしれませんが、一方で、寂しく思ったり、遺憾に思う人もきっといることでしょう。
若者への思いは時代を越えて
年上の方が若い人の言動を見て、「まったく最近の若いものは!」と憤慨している場面を見ることがあります。「ゆとり世代」を印象的に描いたドラマやCMなどもありましたが、感覚の違いに衝撃を受ける方も少なくないようです。
多くは礼儀にかける言動に原因があるようで、腹が立つのも仕方ないかもしれません。
では、これは現代に限ったことかというと、そういうわけでもないようです。
古くは、約5000年前のエジプトの壁画に「最近の若いものはなってない!」ということが書かれていたとか。
古代ギリシアの哲学者プラトンも若者の言動に対して苦言を呈し、「これからどうなるのだろう」とギリシャの未来を心配していたとか。
清少納言が『枕草子』に、若者の言葉遣いが乱れていると記述している箇所もあるそうです。
こういう話を聞くと、言葉は変わっても、人の様子は変わらないんだなあと、どこかおもしろく感じます。
「子供叱るな来た道じゃ 年寄笑うな行く道じゃ」という言葉がありますが、今若者のことを叱っている世代の方も、過去には同じように叱られていたことがあったのかもしれませんね。
そうして古い時代から繰り返されてきたように、時代によって言葉遣いや習慣、社会情勢は変わっていますので、同じ内容でもピンとこない場合があると思います。
清少納言は、若者の言葉遣いが「と」抜き言葉であることを批判しているそうです。
本来「言はんとす」と言うべきところを、若者たちは「言はんずる」と言っている、というわけです。
しかし、現代の私たちには、何が悪いのかさっぱり分かりません。
平安時代の常識と、現代の常識は全く違うものになってしまっているからでしょう。
仏教が国と時代を越えてきた理由
仏教は、いつでもどこでも変わらない人間の姿を説かれた教えですから、本来はいつの時代の人も、どこの国の人にも当てはまる内容です。しかし、お釈迦さまのおられた2600年前と今とでは、習慣も、常識も、社会情勢も、全く違っています。
ですから、2600年前のインドの人に向けて話されたことをそのまま現代の私たちに話されても、理解ができない可能性があります。
同じ内容を説くのでも、その時代、その国にあった話し方をしなければならないということなのですね。
2600年前、インドで説かれた仏教を私たちが知ることができるのは、ここまで伝えて来られた方があったからです。
鎌倉時代の親鸞聖人は、7人の高僧の名前を挙げられて、これらの方々のおかげで、正しい教えを知ることができたと喜ばれています。
そしてまた、親鸞聖人も、後世の人たちに伝わるように、仏教を説いていかれました。
教えの内容は決して曲げてはならないけれど、説き方は時代や国によって変えていかねばならない。
いかにして多くの人に正しい教えを伝えたらよいか、大変悩まれたことと思います。
そのご苦労があって、私たちも仏教を学ぶことができるのですね。
現代の人にも伝えるために
しかし、現代では教えを学ぶ機会が昔よりも格段に減ってしまいました。「仏教」と聞いても、触れるのは葬式や法事の時ぐらいで、どんなことが教えられるのかさっぱり分からない、という人も多くなってきたようです。
せっかく現代までつながってきた教えを、ここで絶やしてはいけない。
私たちも、すべての人に関係のある仏教を、現代に合った言葉、現代に合った方法で、お伝えしていきたいと思っています。
その一つが移動映画館です。
移動映画館の取り組みを記事にまとめましたので、気になる方はこちらからご覧ください。
→全国へ心からの喜びを 移動映画館とチューリップ企画
皆様の仏教を学ばれる機会が少しでも増えたなら、とても嬉しいです。
世代によって言葉遣いは変わっても、軸となる教えが一緒なら、心を通わせることもできるのではないでしょうか。
それでは、また(^^)/ -スタッフブログ, 暮らしの中で
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!