スタッフブログ 暮らしの中で

評価が気になって仕方ない?名誉を追い求めた先にあるもの

 

2020/01/16

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。

「エゴサーチ」したことありますか?

先日、あるテレビ番組で「エゴサーチをするかどうか」が話題になっていました。
「エゴサーチ」とは、インターネット上で自分の名前を検索し、評判を確認することです。
その番組内では、一切見ないという人もいれば、一日何百回とエゴサーチをするという人もありました。

テレビに出ているような人たちは、いろいろと書かれることも多いでしょう。
いいことばかりならばいいですが、中には悪いこともあるはずです。
むしろ、インターネット上に書かれていることというのは、誹謗中傷が多いような印象も受けます。
それなのに、エゴサーチをするのは一体なぜなのでしょうか。

その時の出演者の一人がエゴサーチをする理由を話していました。
コメンテーターとして発言したことが、どれくらい世間に取り上げられるのか、自分にはどのくらいの力があるのかをそれで測っているのだそうです。
批判を受けるのは腹が立つけれど、結局コメンテーターとして一番求められているのは、どんなに嫌われても自分の意見をはっきり言えることなのだろうと語っていました。
色々な考え方、意見があるのですね。

名誉欲に振り回される私たち

エゴサーチをする人、しない人、それぞれに言い分はあるのだと思いますが、どちらにも共通しているのは、名誉欲に動かされての行動だということです。
名誉欲とは、他人からよく見られたい、評価されたい、嫌われたくない、という心のこと。

エゴサーチをする人は、自分が世間でどのように評価されているのか確かめたい、という心で動いているのでしょう。
一方、エゴサーチをしない人は、自分が悪く書かれているのを見たくない、という思いでいるのではないでしょうか。
反対のように見えても、根底にあるのは、同じく名誉欲を満たしたいという思いなのです。

一番重視しているもの

仏教では、私たち一人一人に108の煩悩があると教えられています。
その中でも代表的なのは欲の心です。
欲には大きく分けて、食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲の5つがあります。
私たちは、この中でも何を重視しているでしょうか。
それを表す印象的なエピソードがあります。

中国の大河、長江を展望できる山上に王宮があった。
日々、何百艘の船が往来しているのが一望できる。
ある時、皇帝が側の宰相に尋ねた。
「一日にこの河を往来する船は、何百艘ぐらいと思うか」
宰相は即座に、こう答えている。
「はい天子様。二艘でございます」
「馬鹿者、お前の目は節穴か。朕が現に見えるだけでも何十艘あるのに二艘とはなにごとか」
いいえ、名利の二艘でございます。
多くの船が動いているように見えますが、名誉を得るためか、利益を得るために動いている以外にはございません。故に名利の二艘だと申しあげたのでございます」
皇帝も宰相の名答に深く首肯したという。
(『光に向かって123のこころのタネ』より)

「名」とは名誉欲、「利」とは1円でも多く儲かりたいという利益欲のことです。
私たちは日々仕事に精を出していますが、その目的の根本的なところを考えると、名誉か利益を求めてのことと気づきます。
中でも、名誉欲は多くの人が重要視しているものではないでしょうか。

名誉を追い求めた先にあるもの

仕事では、上司やお客様からいい評価を得られるように奔走。
プライベートでは友達に嫌われないように気を遣い、家に帰ればSNS上でどれだけ「いいね」をもらえたかで喜んだり落ち込んだりしている。気の休まる暇もありません。

流行を追い求めてみたり、世の中に毒づいてみたり、人と変わったことをしてみたり。
それらすべて、突き詰めれば名誉欲に動かされていることが分かります。
まさに、名誉欲で煩い、悩んでいるのが私たちなのです。

しかし、どれだけ頑張っても、すべての人から評価され、好かれることはできません。
多くの人から仰がれるお釈迦さまでも、当時のインドでは人民の3分の1が反抗し、3分の1はお釈迦さまの名前さえ知らなかったと言われています。

皆にて謗る人もなく、皆にて褒むる人もなし」(法句経)

このお言葉を聞くと、本当に力を入れるべきは、自分の評価を上げることではないと分かります。

日々名誉を追って走っている私たちですが、人の目を気にするあまり、疲れてしまっているのではないでしょうか。
親鸞聖人は「煩悩具足の凡夫」と言われ、私たちは「煩悩でできているもの」と教えられていますから、名誉欲をなくすことはできません。
その私たちが名誉欲あるままで幸せになれる道があると仏教には説かれています。

自分がどう見えているか、どう見せるかも大切ではありますが、たまには少し心を落ち着けて、自分の行く先を見つめてみるのもよいのではないでしょうか。
それでは、また(^^)/

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