落し物を見つけたら正直に届けよう 「誰も見ていないから大丈夫」は大間違い
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
落し物が戻ってくる国・日本
財布を落としました。交番に届いていました。
僕は届け主にお礼したいと交番の方に伝えるが、届け主はお礼を辞退しているとのこと。
僕がうなだれていたら、交番の方に「次あなたが落し物を拾った時、交番に届けてあげてください。それが恩返しになります」と言われました。
やさしい世界、いいなあ。
ツイッターに投稿されていたエピソードです。
読んでいるこちらも心が温かくなりますね。
海外の人が日本に来て驚くことの1つに、「現金を落としても、高い確率で落とし主のもとに戻ってくる」ということがあるそうです。
東京都で2016年に落とし物として警察に届けられた現金は約36億円で、その4分の3にあたる約27億円が落とし主のもとに戻ったのだとか。
日本に住む私たちにとっては、「落し物は警察に届ける」ことが当たり前になっています。
だからこそ、現金でも高い確率で持ち主に戻ってくるのでしょうね。
「たった20ポンドなのに有罪」はおかしい?
一方海外では、現金が落ちていたら、拾った人がそのまま自分の懐に入れてしまうのが普通なのだそうです。イギリスでは、ある商店の店内に落ちていた紙幣を拾って、そのまま持ち帰ってしまった女性が有罪となった事件がありました。
女性が拾ったのは20ポンド(約2800円)札。
この事件が新聞で報じられると、「たった20ポンドで有罪にしなくても」と、女性に同情する意見が多く寄せられたそうです。
「たった20ポンド」という思いは分からなくもありません。
しかし日本では、拾ったのが10円であったとしても警察に届ける人がいます。
その違いはどこにあるのでしょうか。
人のものを取ってはいけない根拠は仏教に
日本人は、小さい頃から道徳教育が徹底されており、人のものは取ってはいけないと重ねて教えられてきました。そのことが、自然と私たちの考え方の根底にあるのかもしれません。
では、「人のものを取ってはいけない」とする根拠はどこにあるのでしょうか。
仏教では、よいことをすればよい結果、悪いことをすれば悪い結果、自分がした行いの結果はすべて自分に返ってくるという因果の道理が説かれています。
日本人のほとんどは仏教徒ですから、昔から受け継がれてきた考え方が今でも多くの人の心に根付いているのでしょう。
お釈迦さまは、人のものを盗むことを偸盗(ちゅうとう)と言われ、悪い行いの1つに挙げられています。
人のものを盗めば、自分に悪い結果が返ってくる。
だから、たった10円でも、20ポンドでも、決してしてはいけないと教えられたのです。
仏さまはすべてご存知
しかし、イギリスの事件では、「見つからないように拾っていればよかったのに」という意見もあったようです。もし、自分1人しかいないところで落ちているお金を見つけたら、どうするでしょう。
誰も見ていないんだし、自分のものにしてもいいんじゃない?
そんな悪魔のささやきが聞こえてはこないでしょうか。
実際、そのように考える人も少なくないかもしれません。
私たちは、人相手に行動していることが多いです。
人が見ているから悪いことはしないでおこう。
人が見ていないし、誰も評価してくれないからやる気が出ない。
そうして行動の基準を他人に置いているのではないでしょうか。
しかし、人が見ていようと見ていまいと、よい行いは必ず良い結果として返ってきますし、悪い行いは必ず悪い結果として返ってくると教えられるのが仏教です。
仏教を説かれたお釈迦さまをはじめとする仏さま方は、見聞知(けんもんち)の方であると言われます。
あなたがどんな行いをしているか、すべて見ているよ。
あなたがどんなことを言っているのか、すべて聞いているよ。
あなたがどんなことを思っているのか、すべて知っているよ。
たとえ人が見ていなくても、仏さまはすべてご存知だ、ということです。
「誰も見ていないから」と思った時は
たとえ1人でいる時にお金が落ちていても、仏さまが見ておられると思ったら、自分のものにしてしまおうとは思わないでしょう。そして正直に届け出たなら、相手に感謝されます。
落し物が戻ってきた人は、冒頭のエピソードで言われていたように、自分が拾った時も正直に届け出るようになりますから、いいサイクルが回り始めるのではないでしょうか。
また、努力がなかなか日の目を見なくても、仏さまはその努力をご存知だと思ったら、もっと頑張ろうと力がわいてくるでしょう。
努力を続ければ、いずれ必ず実を結びますから、断念しなくてよかったと思える時がきます。
「誰も見ていないから…」という気持ちが起きてきた時は、仏さまが見ておられるぞ、と思ってみるといい方向に進めるかもしれません。
「落し物をしても手元に戻ってくる」という日本の風土が、この先もなくならないことを願います。
それでは、また(^^) -スタッフブログ, 暮らしの中で
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!