脚光の裏にある努力に大きな拍手を 恩田陸さんが語る「才能」の定義
2020/01/16
皆さん、こんにちは!
チューリップ企画スタッフのわかです。
直木賞と本屋大賞に輝いた『蜜蜂と遠雷』
今回本屋大賞に輝いた『蜜蜂と遠雷』は、ピアノコンクールをテーマに描いた小説です。作者の恩田陸さんが構想に5年、執筆に7年かけて完成させたこの作品は、本屋大賞を受賞する少し前に、直木賞も獲得しています。
直木賞は作家や文学者といった、いわゆる「書き手」が選ぶ賞ですが、本屋大賞は、限りなく読者目線に近い、書店員が選考します。
恐らく選考の視点が違うであろう、この2つの章をダブル受賞したということで、非常に良い作品だということが分かります。
「才能」ってなんだろう?
恩田さんは、3年に1度行われる浜松のピアノコンクールに4回取材に行ったそうです。そこで、出場者たちが奏でる音楽を、「才能とは何だろう?」ということを考えながら聞いていたといいます。
直木賞受賞後、あるインタビューに答えた恩田さんは「才能」について訊かれた時に次のように答えていました。
「努力できることと、続けられることじゃないかと思います。
何かを続けるのは大変なことなので、『続けられる』ということ自体が一つの才能だというのはすごく思いますね」
「才能」と聞くと、すでにその人に備わっているものというイメージがあります。
だから、才能がないことを理由に途中で挫折してしまう人も多くいるようです。
「才能がある人に、才能のない自分がどれだけ頑張っても追いつけるはずがない」と。
どんな世界にも、その道の第一人者がいます。
そうして第一線で活躍している人のことを、「才能があるからこそ、その世界のトップになれたんだな」と見ている人が多いのではないでしょうか。
私自身も、小さいころからそのように感じていました。
第一人者は天才だから成功したのか?
しかし、実際その道を極めている人が口をそろえて言うのは「努力の大切さ」です。各分野の第一人者の言葉をいくつか紹介したいと思います。
「何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている」
(将棋棋士 羽生善治さん)
「努力せずに何かできるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうじゃない。
努力した結果、何かができるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうだと思う。
人が僕のことを、努力もせずに打てるんだと思うなら、それは間違いです」
(イチロー選手)
「誰もが才能を持っている。でも能力を得るには努力が必要だ」
(マイケル・ジョーダン選手)
「もちろん、生まれつきの能力の問題もまったく無視はできない。
それでもやはり、これはおまけみたいなものだ。
絶え間なく、粘り強く努力する。
これこそ何よりも重要な資質であり、成功の要といえる」
(トーマス・エジソン)
精進を積み重ねた上に
仏教では、努力することを「精進(しょうじん)」と言われます。「精進料理」という言葉をよく聞きます。
肉や魚が使われていない、仏教ならではの食事というのが一般的に知られているのではないかと思いますが、
「精進」とは、「精を出して進む」ということから、もともと努力という意味があるのです。
お釈迦さまは、「六度万行(ろくどまんぎょう)」という、6つの善いことの1つに、この精進を挙げられています。
蒔いたタネの分しか、収穫は得られないものです。
収穫が大きければ大きいほど、それだけのタネを蒔いてきたということ。
私たちはついつい結果ばかりに目が行ってしまい、その結果を見て羨んでいるのですが、その裏にはいったいどれほどの涙ぐましい努力があったことでしょうか。
恩田さんが今回直木賞と本屋大賞という栄えある賞をとった陰に、12年という月日があったことを忘れてはいけないな、と思います。
もっと言えば、この12年だけではなく、作家を志した時から、いろいろな苦労を積み重ねた上にできた今の結果なのです。
才能とは「努力を続けられること」
華々しい成功をおさめている人は、人に見えないところで大変な努力をしていることが分かります。恩田さんは「努力を続けることが才能」だと言いました。
絶え間ない努力をできる人が少ないからこそ、成功する人は一握りだし、才能があると言われる人も少ないのだなと思います。
そう考えると、今脚光を浴びている人たちは本当に尊敬すべき人なのですね。
賞を受賞したり、試合に勝ったり、昇進したりする人に対して、形だけの拍手は送れても、心からの「おめでとう」は言えていないのではないかと反省するばかりです。
脚光を浴びている人が重ねてきた努力に、心からの拍手を。
そして、少しでも近づけるように自分自身も小さなことからコツコツと。
「継続は力なり」を実践していきたいですね。
それでは、また(^^)/ -メディア
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!