夫婦は理解し合えて当然? 「死ぬまで一人」の自覚から生まれる努力
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
昨年、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で大ブレークした星野源さん。
私自身は特段注目しているというわけではないのですが、テレビを見ていると、姿を目にすることが多くあります。
それだけひっぱりだこだということかもしれませんね。
夫婦は「二人で一つ」なのか?
現在放映中のドラマ「コウノドリ」にも産科医、四宮(しのみや)役で出演しています。感情を表に出さない人物で、非常にクールな役柄ですが、考えさせられるセリフを言っていることがよくあります。
先日放映されていた内容では、出産後、育児と仕事の両立に悩みながら、誰にも相談できずにいた女性のエピソードが描かれていました。
彼女はそれによって産後うつになってしまい、自ら命を絶とうとしていたところを、医師たちの説得によって思いとどまります。
知らせを聞いて駆けつけてきた夫は「夫婦は二人で一つなんだから相談してくれよ」と訴えかけますが、それを横で聞いていた四宮はきっぱりと言うのです。
「人間は、二人で一つになんかなれない。死ぬまで一人だよ。
たとえ夫婦でも、別々の人間だからこそお互いを尊重し合う。それで初めて、助け合えるんだろうが」
理解していると思ったら…
とても気の合う人、理解し合える人との出会いは、私たちに大きな喜び、安心を与えてくれるものです。夫婦は、人生の時間を共にし、一緒に様々なことを乗り越えていくパートナーですから、一心同体と考える人も多いかもしれません。
一心同体ということは、相手のことを我が事のように受け止めるということです。
悲しみも、嬉しさも、分かち合う。
何でも話ができて、理解し合うことができる。
お互いにとってお互いがそのような存在であることを言われるのでしょう。
もし、何もかもを理解し合えるのなら、人間関係の上での苦労はしなくて済みます。
夫婦だから分かりあえて当たり前。そのように考えている人も少なくありませんよね。
しかし、実際には、分かりあえないことに苦しんでいる人がたくさんいるようです。
分かっていると思っていたら、実はすれ違っていた、という話もよく聞きます。
お釈迦さまが説かれた「孤独」
お釈迦さまは、人の一生を「独生独死 独去独来(どくしょうどくし どっこどくらい)」と言われました。生まれてきた時も一人なら、死んでいくときもまた一人。
一人で来て、一人で去っていくのが人間である、と説かれています。
まさに「死ぬまで一人」。人生の寂しさを教えられているのです。
周りには家族や友達、同僚、多くの人がいるのだし、生まれてから死ぬまで一人なんて、そんなことはないだろう。
そう思われるかもしれません。
お釈迦さまが説かれたのは、肉体の連れがいないということではなく、心の連れがいないということなのです。
私たちは、一人一人違う価値観を持っていますし、今まで経験してきたこともそれぞれ違います。
その価値観や経験を通して物事を見ていますので、感じること、考えることも異なります。
仏教ではこのことを「一人一人の業界(ごうかい)にすんでいる」と言われています。
どれだけ多くの人と一緒に過ごしていても、心は一人一人違う世界にいますから、肝心のところでは分かりあえないということなのです。
どんなに親しい間柄でも、心の奥底までは覗くことができない。
趣味や嗜好など、重なり合っている部分があったとしても、それはあくまで一部分であって、すべてではない。
特に男性と女性では、根本的に考え方が異なるとも言われます。
一心同体と考えれば、「分かっていて当然」となりますが、「分からなくて当然」が本当のところなのではないでしょうか。
「死ぬまで一人」の事実が教えてくれること
「分かりあえない」「死ぬまで一人」と聞くと、なんだか寂しいなあと感じます。しかし、そのように理解することで、コミュニケーションの大切さに気付くこともできるのではないでしょうか。
夫婦といっても、一人一人の人間です。
お互いに、思っていることも違えば、言えないこともあるでしょう。
もし、その中で「分かりあいたい」という思いがあるのなら、伝えようとする努力、理解しようとする努力がお互いに必要なのですね。
それは夫婦だけでなく、親子でも、友達でも、あらゆる人間関係に言えることではないかと思います。
人は生まれてから死ぬまで一人。
仏教で教えられるとおり、心の連れはなかったとしても、私たちは肉体の連れがなくては生きていけません。
「分かりあえなくて当たり前」という前提に立って、お互いを尊重し合っていきたいものですね。
それでは、また(^^)
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この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!