十人十色の悩みが七千冊のお経に お釈迦さまが仏教を説かれた目的とは
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
本社のある北陸には、「根性よし」という言葉があるそうです。
これはいわゆる「お人好し」という意味で、やんわりと否定的な意味が含まれている方言なのだとか。
「根性」という普段使われている言葉のイメージとは異なる使い方が、その地方ならではという感じがしますね。
「根性」といえば、「島国根性」「野次馬根性」などと使われるように、その人の本来的に持っている性質のことを言われたりします。
また、物事をやりとおす、たくましい精神や気力のことを根性と言われることもありますね。
この言葉、実は元々仏教からきているようです。
「機根」という言葉から出たもので、仏の教えを受ける者としての素質のことを表されているのだとか。
「機」ごとに説かれた仏教
仏教では、人間のことを「機」と表現されています。人の心は機械のように外部からの働きかけによってどのようにでも動くので、このように言われるのだそうです。
お釈迦さまは、この「機」ごとに仏教を説かれました。
このことを対機説法(たいきせっぽう)と言われます。
それはちょうど、お医者さんが患者の病に応じて薬を与えるように、一人一人の悩みに添った説かれ方をされたということです。
「世の中には自分と似た人が3人はいる」と言いますが、似たような人はいても、全く同じ人は2人としていないでしょう。
100人いれば100通りの人生、考え方、悩みがあるもの。
同じ話を聞いていても、感じ方はまちまちです。
関心を持って聞く人もいれば、全く関心を寄せない人もいると思います。
だからこそ、その人に合わせた内容で話をする必要があったのですね。
すべての人に共通すること
仏教と聞けば「ある程度年齢を重ねてから必要になるもの」と思っている人が多いようです。しかし、本来仏教と関係のない人は一人もありません。
仏教は、いつでもどこでも変わらない真理を説かれた教えだからです。
これを「三世十方を貫く」と言われます。
三世とは、「いつでも」ということ。十方とは、「どこでも」ということなので、いつでもどこでも変わらない教えだということです。
何千年前の人も、現代の人も、これから何千年後の人も変わらないことを説かれているし、どこの国に住んでいる人にも共通することが教えられているのが仏教なのです。
すべての人を相手に説かれているのが仏教ですから、お釈迦さまは、それらの人たちが教えを聞くことができるよう、各人の悩みに応じて教えを説かれました。
その教えは七千冊余りの膨大なお経となって今日まで残されています。
七千という数を聞くだけでも、いかに悩み苦しんでいる人が多いか分かりますね。
悩みは十人十色
お釈迦さまは「人生は苦なり」と教えられています。それを象徴する言葉が「四苦八苦」です。
生きていくことの苦しみである生苦、老いていく苦しみの老苦、病の苦しみである病苦、死にゆく苦しみの死苦の4つを四苦と言われます。
そこに、愛するものと別れていかなければいけない愛別離苦(あいべつりく)、嫌いなものと対面しなければいけない怨憎会苦(おんぞうえく)、求めているものが求まらない求不得苦(ぐふとっく)、肉体が盛んなるが故の苦しみ五陰盛苦(ごおんじょうく)を合わせて八苦というのです。
子どもを亡くしたことで悲しみに暮れている人。
周りとの人間関係がうまくいかずに悩んでいる人。
お金や物が得られずに苦しんでいる人。
生きる意味が分からず、自らの存在価値が分からなくなっている人。
周囲の声を聞いてみると、本当に様々な悩みの声が聞こえてきます。
その悩みを解決できればと願っているのが私たちなのではないでしょうか。
仏教が説かれた本当の目的
仏教の目的は「抜苦与楽(ばっくよらく)」です。人々の苦しみを抜き、本当の幸せを与えることを言われた言葉です。
私たちが日々感じている悩み苦しみを木にたとえると、枝葉にあたります。
枝葉をどれだけ切り落としても、幹や根っこがある限り養分を吸収してどれだけでも復活するでしょう。
本当の幸せになるためには、悩み苦しみの根っこを切り落とさなければなりません。
すべての人の悩み苦しみの根本原因を除き、本当の幸せにすることこそが、お釈迦さまが仏教を説かれた本当の目的なのです。
しかし、私たちがよく分かるのは自分自身が今まさに感じている苦しみです。
まずは身近なところから私たちの心に寄り添い、教えに少しずつ導かれたのですね。
仏教を聞き始められるきっかけは人それぞれありますが、そこに説かれている目的を知ることができれば、あの悩み苦しみにも意味があったと感じられるかもしれません。
それでは、また(^^)/
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この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!