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重要なのは真実よりも都合? 真実をねじ曲げる色メガネ

 

2020/01/16

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。

多くの人には「悪人」でも

話題になっている「3年A組~今から皆さんは、人質です~」というドラマがあります。
このドラマは、卒業式の10日前に突然担任の教師が生徒を人質にとって学校に立てこもるという衝撃の内容で始まりました。
その後担任教師の目的は、自殺した生徒の死の真相を明らかにすることであると分かります。

生徒の死の引き金となったのは、ネット上に拡散されたウソの中傷動画。
教師の一人に、その動画の制作を依頼した疑いが持ち上がります。
大半の生徒が担任の言葉を信じる中、疑惑を否定しようとする生徒がいました。
その生徒は、疑惑の教師に推薦してもらったことで大学への進学が決まっていたからです。

スポーツ推薦で進学をしたかったのに、どこにも受け入れてもらえない。
そこまでの才能があるわけでもない自分は、もうこの道を断念するしかないのか。
そんな時に、推薦の話を進め、大学への進学を決めてくれた教師に、少なからず恩を感じていたのでしょう。
多くの生徒から見た教師は、生徒を死に追いやる原因を作った「悪人」だったのに対し、推薦を受けた生徒には、そうは思えなかったのではないでしょうか。

嫌いな人の真実よりも、好きな人のウソがいい」という言葉があります。
本来、支持すべきなのは真実を言っている人です。
しかし、どれだけ正論を述べていても、嫌いな人の言うことには耳を貸したくありません。
たとえ悪いことだとしても、好きな人のやったことは受け入れてしまうのではないでしょうか。

重要なのは真実よりも都合

突き詰めて考えてみると、私たちにとって重要なのは、それが真実かどうかということよりも、自分にとって都合が良いかどうかなのです。
今回のドラマの内容で言えば、推薦での進学を希望していた生徒にとって、真実が明らかになるのはとても都合の悪いことでした。

教師がしたことが事実ならば世間的にも問題になり、進学もきっと取り消しになる。
そうしたら、もう大好きなスポーツへの夢も途絶えてしまう。
そうなるくらいなら、真実なんか明らかにならなくていい。
周りの人が聞けば非難するでしょうが、私たち一人一人にそのような心があるとお釈迦さまは教えられています。

欲でできている私たち

仏教では、人間を「煩悩具足の凡夫(ぼんのうぐそくのぼんぶ)」と言われます。
「煩悩」とは、私たちを煩わせ、悩ませるもの。
「具足」とは、「それでできている」ということですから、「煩悩でできているのが人間」ということです。

煩悩は108あるのですが、中でも代表的なものが欲の心です。
欲は、金が欲しい、褒められたい、認められたい、欲しい欲しいもっと欲しいと際限なく求める心のこと。
私たちは欲を満たすことで幸せを感じるので、少しでも多く欲を満たそうと毎日一生懸命になっています。

都合の良し悪しは、自分の欲を満たせるかどうかで決まるのです。
自分の欲を満たしてくれる人はいい人。
自分の欲を妨げてくる人は悪い人。
そうやって相手のことを判断しているのではないでしょうか。

物事をありのままに見つめるには

すべての人が煩悩具足ですから、自分も他人も欲に動かされています。
自分が相手を見るときも、相手が自分を見るときも、都合という色メガネを通さずしては見ることができません。
真実をありのままに見つめるということは、とても難しいことだと分かります。

そんな私たちが住む世界に、まことは一つもないのだと、『歎異抄(たんにしょう)』では次のように言われています。

万のこと皆もって、空事・たわごと・真実あることなし

仏教では正しく物事を見ることを「正見(しょうけん)」と言われます。
逆に、物事をねじ曲げて見ることを「邪見(じゃけん)」と言います。
欲によって、正しく物事を見ることができない私たちだからこそ、事実を事実としてありのままに説かれた仏教を聞くことが大切なのでしょう。

様々な情報が溢れている現代では、何が真実で何がウソなのか、判断に迷うこともたくさんあります。
そんな時は、心を落ち着けて仏教に説かれた真実を聞いてみてはいかがでしょうか。

それでは、また(^^)

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