人生の正解はどこにある? 誰から何を言われてもぶれない人生の指針
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
いじめという社会問題
私が毎年注目している本屋大賞が今年も発表されていました。今年の大賞は、辻村深月さんの『かがみの孤城』だそうですね。
同級生に傷つけられ、学校に行けなくなってしまった中学生の少女の視点で描かれている作品です。
学校でのいじめや不登校に関するテーマは、様々な作品で描かれ、また現実にも問題になってきました。
この問題がなくならないのは、人間関係が大きく絡むことだからなのでしょうね。
人間の好き嫌いは理屈では測れないことの方が多く、仲良くしなさいと言って簡単にできるものではないのかもしれません。
誰が正しくて誰が間違っているのか?
今回扱ったテーマについて、辻村さんはあるインタビューで次のように語られていました。「誰かにとっては合わないけど、ぴったりくる人だっている。
単純に誰が正しくて、誰が間違っているかっていうのは一言では言えないんです」
辻村さんは「これだっていう正解はどの世界にもない」とも言われていました。
傷つけられた人間にとっては何があろうと許せない相手かもしれません。
しかし、傷つけた側の人間にも、事情や背景はあります。
世の中には、傷つけられた人に同情する人もいれば、傷つけた側に共感する人もいるでしょう。
それは間違っている、と簡単に言えることではないんですね。
私たちは、自分の都合の良し悪しで人を評価しています。
自分にとって都合が良ければ相手は善人になるし、都合が悪ければ相手は悪人になります。
だから、同じ人であっても、今日はいい人で明日は悪い人、となることだってあるのです。
学生の時は自分のことをいじめてきた怖い相手も、大人になるにつれ、話しやすくていい人に変わることがあるかもしれません。
仏教に説かれる世の中の不確実さ
世の中は状況がコロコロと変わり、目まぐるしく動いています。「これだけは確かだ」というものは一つもないと、有名な古典『歎異抄』には、次のような一節が記されています。
「煩悩具足の凡夫・火宅無常の世界は、万のこと皆もって空事・たわごと・真実あることなし」
煩悩具足の凡夫(ぼんのうぐそくのぼんぶ)とは、「煩悩でできているのが人間だ」ということです。
煩悩は、文字通り私たちを煩わせ悩ませるもの。各人に108あると教えられています。
中でも代表的なのが欲、怒り、ねたみ・そねみの心です。
私たちは日々、この煩悩に動かされて生きているのではないでしょうか。
人を評価する時の自分の都合というのも、言い換えれば欲です。
自分の欲を多く満たしてくれる相手は善い人、自分の欲を妨げるような人は悪い人と評価しているということです。
欲を妨げる相手だから、嫌な奴だと怒りやねたみ・そねみの心を起こし、いじめという形になって表れるのでしょう。
火宅無常の世界(かたくむじょうのせかい)とは、「火宅」は火のついた家、「無常」とは常が無く続かないことです。
もし、自分の家のひさしに火がついていたとしたら、のんきにテレビを見てはいられません。食事をしている場合でもありません。
不安で不安でたまらなくなります。
いつ何があるか分からない無常の世に住む私たちは、いつも不安な気持ちで過ごしているのです。
私たちの身の回りにあるものは、1つとして永続するものはありません。
大きく変化するか、小さく変化するかの違いだけで、常に変わり続けているのが世の中です。
そしてまた、私たちの心も常に変わり続けています。
ぶれない人生の指針となるもの
生きていると、人からいろいろ言われて落ち込むことがあります。しかし、相手も自分も、当てにならない心を抱えて生きているのだと知ると、その言葉も当てにならないものなのだと分かります。
それは、誰が正しくて誰が間違っているということではないのでしょう。
そうなると、どこに指針を持っていたらいいのか悩んでしまいますね。
仏教では、火宅無常の世の中にあっても、決してぶれないものがあると教えられています。
先程紹介した『歎異抄』の一節の続きに、次のように書かれています。
「ただ念仏のみぞまことにておわします」
この「念仏」は、口で南無阿弥陀仏と称える念仏ではなく、絶対の幸福のことをいいます。
まことの絶対の幸福があると断言されているのです。
親鸞聖人は、この幸福のことを「金剛心(こんごうしん)」と言われています。
「いかなる人来たりて言い妨ぐとも、少しも変わらざる心を金剛心という」
誰から何を言われても、決して揺らがず変わらない心だということです。
この絶対の幸福になる道を教えられたのがお釈迦さまなのです。
仏教を学ぶと指針ができると言われる方も多くありますが、根底には絶対の幸福という目的が教えられていることがあるのかもしれません。
人生をよくよく見つめて、しっかりとした指針を持っていきたいですね。
それでは、また(^^)/
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!