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嫌いな人と協力する時に必要な視点とは? 仏教に学ぶ団結

 

2020/01/16

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。

どんなに仲が悪くても

4月から始まった「崖っぷちホテル」というドラマがあります。
経営難に陥ったかつての高級ホテルを舞台に、ホテル再興に向けて奮闘する従業員たちの姿を描いた物語です。

総支配人の父が亡くなり、新たな支配人として後を継いだ娘の佐那。
ホテル再興に向け、新たに従業員として加わった、一流ホテルの副支配人だった宇海。
2人を中心にホテル再興へ向けて動き出したはいいものの、元々やる気のない従業員たちの心はバラバラで、足並みが全く揃いません。
それどころか、集客をはかろうと打ち出した企画を失敗させようと邪魔をする人間まで出てくる始末。

なぜ協力しようとしないのか尋ねると、「あんたたちが嫌いだから」という答えが返ってきました。
それに対し、副支配人となった宇海が言ったのは次のようなことでした。

「サッカー選手もね、同じチームでも選手同士は仲が悪いことが多いんですよ。
それでも、1人がゴールを決めたら皆で喜ぶ。
ホテルというのも同じなんじゃないでしょうか。
ゴールは1つ。お客様が笑顔になればそれでいい。
そのために、普段はどんなに仲が悪くても、ピッチに出たら同じゴールに向かって協力するんです

人生には気の合う人ばかりではない

私たちは様々な輪の中で生活しています。
家族、職場、趣味の仲間、クラス、部活…その種類は多岐にわたります。
自分と気の合う人ばかりならば良いのですが、そうではない場合の方が多いですよね。

人が集まれば、その中にはいろいろな価値観を持った人がいます
似たような価値観の人もいるでしょうし、真逆の考え方を持っている人もいるでしょう。
価値観が違いすぎて、どれだけ話しても分かり合えず、イライラすることもあるかもしれません。

仏教では、人は一人一人の業界(ごうかい)に住んでいると教えられていますが、生まれてから今日まで、行い(業)が全く同じという人は1人もないでしょう。
今まで積み重ねてきた経験はそれぞれ異なるので、気が合う人がいるということ自体、めったにないことなのかもしれません
そうなると、人の悩みの大半が人間関係に起因するというのも頷けますね。

嫌いな人とでも協力するための努力

しかし、気が合わない、嫌いだといってそれぞれが好き勝手に動いていたら、何事もうまく回りません
職場に嫌いな人がいて、その人のためにはてこでも動きたくない。
たとえそう思っても、協力し合わなければ、会社はうまく回っていかないでしょう。
チームメイトに犬猿の仲の人がいて、どうしても協力し合えない。
そうだとしても、喧嘩ばかりしていては、仲間に迷惑をかけ、試合どころではなくなってしまいます。

集まりの中に気の合わない人、嫌いな人がいるのはある意味仕方のないことです。
好き嫌いは理屈ではありませんから、嫌いな人を好きになるというのは難しいと思います。
それでも、皆で同じ目的に向かう時にはその達成のために忍耐して協力し合わなければいけないのです

日本に仏教を弘めたと言われる聖徳太子の十七条憲法の中には「以和為貴」とあります
一般的には「和を以て貴しと為す」と読まれますが、「和するを以て貴しと為す」と読むことができると聞いたことがあります。
「和する」とは、団結を作り出す努力のこと。
団結とは最初からあるものではなく、お互いが努力して作り上げるものだということなのですね
その努力こそ素晴らしいということを言われた言葉なのです。

「袖触れ合うも多生の縁」とは?

とはいえ、大事なことだと分かっていても、「なんでこんな人と」という思いは尽きないかもしれません。
そんな時に知っておきたいのは、「袖触れ合うも多生の縁」という言葉です

たとえば、街中で一瞬すれ違った人と服の袖が触れ合ったとします。
顔も名前も知らない人。この先会うこともないかもしれない。
そんな人であっても、全世界に多くの人がいる中で、袖が触れ合うほど近づいたということは、自分とよほど縁のある人なのだと言われた言葉です。

仏教には、私たちの生命の流れは過去からずーっと続いていて、大河に泡ができては消え、またできて消えて…と繰り返しているように、生き死にを繰り返してきたと説かれています。
これを「多生」と言われます。
過去、多生の間、自分とものすごい縁のあった人でなければ袖が触れ合うほど近づくという結果は現れないのですよ、と言われているのが「袖触れ合うも多生の縁」なのです

嫌いな人もあなたにとっての懐かしい人

袖が触れ合った名前も顔も知らない人とでさえ、それだけの縁があるということは、今自分と一緒に同じ目的に向かっている人とは、どれほど深い縁があるのでしょうか
たとえ気が合わなくても、嫌いでも、ずっと昔からの付き合いなのだと思うと、なんとなく懐かしく、自分にとって特別な人なのだと思えてくるかもしれません。

世界には70億の人がいる中、同じ空間で、同じ目的に向かい、日々を過ごしている
そんな深い縁のある人は、人生の中でそう多くはないでしょう。
「袖触れ合うも多生の縁」の意味を知ると、少し視点が変わってくるのではないでしょうか。
人間関係は難しいものですが、一つ一つの関係を大事に、目的達成に向かって日々を過ごしていきたいですね。

それでは、また(^^)/

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