本性は自分勝手? 私たちが自利利他を心がけるべき2つの理由
2020/01/16
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
チューリップ企画スタッフのわかです。
目が覚めたとき失っていたのは
以前アニメとして映画化され話題になった『この世界の片隅に』が、今度は実写ドラマ化されました。戦時中の広島県を舞台に、人々の様子が描かれたこの作品。
先週放送された第7話は、広島県では20パーセントを超える視聴率だったそうです。
第7話は、前回の終わりに時限爆弾の爆発に巻き込まれた主人公すずが目を覚ますところから始まりました。
目を覚ましてすぐに自覚したのは、自身の右手がなくなってしまったこと。
そして、一緒にいた姪の晴美が帰らぬ人となっていたことでした。
義姉の径子は愛娘を失った悲しみから、横たわるすずに泣きながら厳しい言葉を投げかけます。
すずも、晴美を守れなかったことで自分を責め、憔悴してしまいます。
大豆の配給を受け取りに行った径子は、すずと仲良くしている近所のお嫁さんたちと出会います。
すずも、径子のことも心配する彼女たちに、径子は、次のように言葉をかけました。
「悪いけど、うちはすずの事は、考えられん。
正直、あの子が悪いんじゃないのはわかってるけど。
何で、あんただけ生きとるんって、何で逆じゃないん?って思うてしまう。
あの子の顔やら、のうなった手のあたりとか見るたび、そう思ってまう」
理屈では割り切れないこと
すずが悪くないのは頭では分かっている。責めても仕方がないのも分かる。
でも、心は悲しみでいっぱいで、その感情をどこにぶつけたらよいのか、径子自身も分からなかったのです。
「逆だったらよかったのに」というのは、とてもきつい言葉です。
命に優劣をつけ、その人の存在を否定する言葉だからです。
聞く人が聞けば、なんてひどいことを言う人だ、と思うかもしれません。
しかし、自らが同じ状況になった時、果たして径子を責めることができるでしょうか。
通常、命は平等だと言われていても、本音の部分ではそうは思っていないのが私たちなのではないでしょうか。
私たちの本性は我利我利
仏教では、私たちの本性を我利我利(がりがり)と教えられています。我利我利とは、「自分さえよければいい、他人はどうなってもいい」という心のことです。
自分のことが一番かわいい。
血のつながった自分の家族がかわいい。
自分の好きな人はかわいい。
通常、他人を押しのけて自分や自分の家族を優先させようとすると、自分勝手だと言われて非難されます。
しかし、目の前に困っている人が2人いて、どちらか一方しか助けられないとしたら、誰でも自分により近い人を助けたいという気持ちになるでしょう。
他人を気遣ったり、他人を優先することができるのは、心に余裕があるからです。
しかし、余裕のない状況になると、途端に我利我利の心が顔を出してきます。
誰が傷ついても、犠牲になっても、ただ愛する家族の命は助かってほしい。
どうしたって自分のことを優先してしまうのが人間の心なのではないでしょうか。
自利利他を心がけるべき2つの理由
そのように聞くと、皆我利我利なら自分勝手に生きてもいいのだと考える人もあるかもしれません。ところが、それは違います。
仏教では、すべての人の心の姿は我利我利だと説きながら、他人を幸せにするままが自分の幸せとなりますよ、という「自利利他」の精神を教えられるのです。
我利我利の私たちに自利利他を勧められるのはなぜなのでしょうか。
それには2つの理由があります。
1つには、善い行いに心がけなければ決して良い結果は返ってこないからです。
自分勝手に振る舞えば、周りの人はどんどん離れていくでしょう。
逆に、他人のために率先して動ける人は、困ったときには周りの人が助けてくれるようになるはずです。
自利利他を心がければ、人間関係も潤滑になっていくと思います。
2つ目の理由は、自らの我利我利の心に気づくのは、他人のために動こうと努力した時だからです。
実際に心がけているから、自分勝手な心が知らされてくるのです。
そうして自分の心の姿が知らされてくると、我利我利の自分が幸せになるためには一体どうしたらよいのかという疑問が生まれます。
その疑問に、我利我利の私たちこそ幸せになれる道があると答えられているのが仏教です。
自分の姿を見つめていくことは、辛いことかもしれません。
自分が嫌になることもあるかもしれません。
しかし、本当の自分がわかってこそ、本当の幸せになれる道が明らかになるのです。
自利利他の心がけとともに、自分の姿をよく見つめていきたいと思います。
それでは、また(^^) -スタッフブログ, メディア
この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!