踏み出す勇気がひとりぼっちの世界を変える 『3月のライオン』と「仏教の根幹」
2020/01/16
皆さん、こんにちは!
チューリップ企画スタッフのわかです。
漫画『3月のライオン』とは
皆さん、『3月のライオン』という漫画をご存知ですか?『ハチミツとクローバー』で有名な羽海野チカさんが作者の、将棋を題材にした作品です。
2007年から連載がスタート。2011年には漫画大賞に輝き、ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR」コミック部門では一昨年、昨年と2年連続で1位を獲得しました。
現在NHKでアニメが放送されており、来月には実写映画も公開を控えていて、さらに注目を集めています。
昨年、史上5人目の中学生プロ棋士の誕生でも話題になった将棋の世界。
この作品から将棋に関心を持ったという人も多くいるようですね。
将棋だけが心の拠り所
主人公は高校生プロ棋士、桐山零(きりやまれい)。早くに不慮の事故で家族を亡くした零は、父の友人で将棋のプロ棋士である幸田に引き取られます。
彼の家族と一緒に暮らすことになるのですが、零が来たことで家族内に不協和音が生じ始め、零は後ろめたい思いを抱えながら幼少期を過ごすのです。
真面目で誠実な人柄でありながら、人とのコミュニケーションがあまり得意ではなく、学校では友達もできず一人ぼっち。
家にも学校にも居場所のない彼には、将棋だけが心の支えでした。将棋を指しているときは、1人ではなくなるからです。
養父の影響もあり、小さいころから将棋に打ち込んできた零は、早くからその才能を開花させ、中学生でプロ入りを果たします。
零の世界を変えたのは
その後、高校に入ったはいいものの、棋士の仕事と両立していくのは大変で、なかなか学校に顔を出すことができないし、高校に行ってもやっぱり友達はできない。しかし、高校進学後、1人暮らしを始めた零は、ひょんなことから近所の和菓子屋さんの孫である三姉妹と知り合います。
彼女たちとの交流を通して、人の温かさを知り、様々な出会いを経験していくことになるのです。
その1人、零の担任になった林先生は、クラスの中で孤立していた零に心をかけてくれました。
昼休みは昼食を共にし、出席日数を気にしつつも、零にとって将棋が大切であることもちゃんとわかって送り出してくれる。
無事に学校生活を送れるように、見守ってくれる。
ある時、将棋に時間をかけすぎて留年のピンチが訪れると、林先生はなんとか零を進級させようと奔走。
そうした林先生の頑張りや、いろいろな人の助けもあって、零は無事に進級できることになりました。
帰り道、林先生は零に語りかけます。
「一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ。
でないと実は、誰も、お前にも頼れないんだ」
傷つきたくない でも、近づきたい「ヤマアラシのジレンマ」
「呼べば呼ぶ 呼ばねば呼ばぬ やまびこぞ まず笑顔せよ みな笑顔する」という歌があります。相手が笑ってくれたら、自分もつられて笑顔になります。
相手がそっけない態度をとったら、自分もついついそっけない態度になってしまいます。
相手というのはやまびこのようなもので、周りの人が自分に対してとっている態度は、実はそのまま自分が周りの人に対してとっている態度だったりします。
心理学者のフロイトが用いた「ヤマアラシのジレンマ」という話があります。
寒い夜、ヤマアラシが2匹、お互いの身体を寄せ合って暖を取ろうとするのですが、近づきすぎるとお互いの針でお互いを傷つけてしまう。
近づきたいのに近づけない、そんな様子を表した言葉です。
人間関係は難しいところがあって、時には裏切られてしまうこともあるかもしれません。
そんな時、私たちはすごく傷つくのです。
だから、お互い傷つかないように、一定の距離を保って生活しています。
でも、本当はもっとわかりあいたい、近づきたいと思っているのではないでしょうか。
誰かが声をかけてくれるのを待っていれば、自分はそれに応えればいいだけで、断られるリスクはありません。
しかし、それでは何も始まらないのだと思います。
原因と結果の関係
仏教の根幹である「因果の道理」では、原因と結果の関係を教えられます。結果には必ず原因がある。
原因なしに起きる結果は絶対にない。
これは、いつの時代、どこへ行っても変わらない真理だと仏教では教えられています。
私たちの運命を生み出すのは自分自身の行いです。
行動を起こせば必ず何らかの形で結果が表れますが、何もしなければ、当然何も起こることはありません。
だから、リスクを恐れて自分の殻にこもっていたら、相手に近づくこともできないのです。
助けたい人がいるのなら
誰かとの関係を作ろうと思うとき、一歩踏み出すのは大変な勇気がいります。心を開くのも、とても勇気がいることです。
しかし、そうして心を開いて誰かに頼ることで初めて、その人との「縁」ができます。
一度つながりができれば、その先自分が相手を助けることだってできるのです。
零は、林先生からの言葉を受けて、いつも自分のことを気にかけてくれる三姉妹のことを考えました。
自分が心を閉ざしていては、いざ、彼女たちが自分に頼りたいと思った時、頼るすべがなくなってしまいます。
いずれ誰かを助けるために、まずは自分から心を開く。
勇気をもって一歩踏み出したことでできた「縁」は、いつかきっと誰かを助け、また、まわりまわって自分を助けてくれるはずです。
「情けは人のためならず」と言いますからね。
それでは、また(^^)/
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この記事を書いたスタッフ
チューリップ企画コールセンターのわかと申します。
静岡の温暖な気候の中で育ったせいか、のんびりと構えていることが多く、周囲からはよく「いつも安定しているね」と言われます。
日常の様々な出来事を物語化することが好きです。
学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々を過ごしていました。
そんな小さい頃からの癖で、日常の出来事を無意識に観察していることがあり、見ているうちに周囲の人間関係も客観的に把握することができるようになりました。
今まで見てきた人間関係、自分自身の悩んだ経験や、日々の電話応対の中でのお客様の声などを通して、皆様の悩みに寄り添える記事を書いていきたいと思います!